WORKS
食を開く

品川エトワール女子高等学校|2023年度「食と環境」の授業

CATEGORY
食を開く
DATE
2023年4月-2024年2月
URL
https://www.etoile.ed.jp/highschool/
KEYWORD
教育プログラム

食を通して環境を考え、未来を想像する1年間

2023年度、品川エトワール女子高等学校のネイチャースタディークラスにて、2年生・3年生を対象に「食と環境」をテーマにした授業を担当しました。

2年生では、身近な食事を通じて「食と環境の関係」を学び、「食材の選択が環境にどんな影響を与えるのか?」を考察。

3年生では、「30年後の高校生の食生活」をテーマに、フードテックや食糧問題など未来の食文化を探求し、本を制作しました。

2年生|「環境実践」~食べることの背景を知る~

(対象:2年生1クラス 15名/週1回 2コマ/年間授業)

「食べる」という日常的な行為の背景には、さまざまな要素が関わっています。どこでどんなふうに作られた食材を選ぶのか。調理や食事の仕方によって環境負荷はどう変わるのか。こうした問いに向き合いながら、調理実習やワークショップを通じて、食の選択が持つ意味を考える授業を行いました。

1学期:「ハンバーグ定食」を通して考える

調理実習:「ハンバーグ定食」をつくる
・生徒が食材の仕入れ先をリストアップし、その選択が環境に与える影響を考察
・予算や調理時間などの制約のなかで、どんな食材を選ぶかを検討
・「どこで、どのように生産された食材を使うのか?」を可視化

調理実習の振り返りとディスカッション
・理想のハンバーグ定食とは?
価格、味、環境負荷、安全性のバランスを考える
・食材のトレーサビリティを追う
産地、輸送、価格の違いから「最適な選択」を考える
・食品ロスと食文化の関係
旬の食材や輸入食材の利用についてディスカッション

2学期:環境視点からの食のアップデート

食材選びの基準を考える
・アニマルウェルフェア、気候変動と農業、フードロス問題について学ぶ
・ハンバーグ定食をサステナブルにアップデートする方法を議論

環境に配慮した食事の工夫
・買い物の仕方を考える(地産地消、無駄のない購入方法)
・調理の工夫(食品廃棄を減らす、水やエネルギーの節約)
・後片付けの工夫(洗剤やゴミの処理方法を見直す)

3学期:食の価値観を深める対話

食べることの意味を考えるワークショップ
・クラスメイトが「幸せ」と感じる食事をインタビューし、食の価値観を探る
・「食べることを考えたことがないのはなぜ?」をテーマに哲学対話
・環境問題や食料問題について調査し、発表


3年生|「衣食住と環境」~30年後の食を考える~

(対象:3年生1クラス 21名/週1回 2コマ/年間授業)

3年生のテーマは「未来の食文化を想像し、本を制作すること」。「30年後の高校生の食生活はどうなっているのか?」という問いを出発点に、フードテック、食糧供給、環境負荷などの視点から未来の食を考え、記事を執筆。1冊の本にまとめました。

1学期:テーマ決定とリサーチ

「30年後の高校生の食生活」 をテーマにグループワーク
・食糧供給の安定化(気候変動や人口増加による影響)
・環境を考えた食べもの(代替肉、昆虫食、フードロス対策)
・フードテックの進化(3Dプリンター食品、スマートキッチン)
・高校生の食生活(自炊の未来、冷凍食品の進化)

● 情報収集&インタビュー
・農水省、食品メーカー、フードテック企業などへの取材を実施
・書籍、ニュース記事、アンケート調査など多様な手法を活用

2学期:本の制作とデザイン

グループごとにページを制作
・「30年後の食」をテーマに、それぞれの視点で執筆・デザイン
・デザインツール(Canva)を活用し、レイアウトやビジュアルを考案
・インタビュー記事・コラム・グラフ・イラストなど多様な表現を活用

オンライン取材&フィードバック
・三菱商事ライフサイエンス様、シャープ様、AGRI SMILE様 などに取材
・本のクオリティ向上のため、デザインや内容について講師が個別フィードバック

3学期:完成と発表

食と向き合うワークショップ
・インタビューを通じて、「食べることの価値観」について深掘り
・哲学対話:「食べることは幸せか?」を問い直す

本の完成&振り返り
・印刷、製本を行い、授業の成果として発表

1年間の学びを通じて

2年生では、日々の食の選択が環境にどんな影響を与えるのかを考え、3年生では、30年後の食文化の未来を探求しました。どちらのクラスも、単なる座学や調理実習ではなく、「食を通じて社会とつながる」ことを実感する機会となりました。この授業が生徒たちの価値観にどう影響を与え、未来の食のあり方を形作っていくのか。今後も伴走しながら見守っていきたいと思います。


プロジェクト|品川エトワール女子高等学校 2023年度「食と環境」の授業
クライアント|学校法人藤華学院

Staff
Planner,Teacher|平井サトシ / 大森愛

honshokuの担当領域
・授業設計、カリキュラム作成(年間を通じた授業計画・教材制作)
・講義、ワークショップの実施(2年生・3年生対象の授業を担当)
・調理実習の企画・進行(食材選定、調理プロセス設計、実習サポート)
・リサーチ&資料提供(食品ロス、フードテック、環境問題に関する情報提供)
・企業、専門家の取材調整(農水省、食品メーカー等企業への取材支援)
・書籍制作のディレクション(3年生の本制作における編集・デザイン支援)

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