平井巧のコラム

だれもが食の教養を身につけることが必要になる。

10月16日の「世界食料デー」は
国連がつくった世界の食料問題を考える日。
さらに日本では10月を
「世界食料デー月間」としている。

おかげで毎年10月は関連イベントが多くて、
いろいろな場所で話をする機会をいただく。
今年は毎日のようにイベントに顔をだしている。
年々、注目と期待があつまるテーマなんだろうな。

世間をながめて感じるのは、
「だれもが食の教養を身につけることが必要になる」。
そんな時代に入っていくんだろうなーということだ。
そのことについて書いてみたい。

フードロス(Food Loss)や食品ロスという
言葉はしっていても、じゃあなにが問題なのか?
わからない人は、思ったよりも多い。
食にむき合うための教養、
つまり知識やかんがえ方が不足しているからだ。

目のまえの牛丼、これどうやってできあがったの。
食べのこした牛丼は、このあとどう処理されるのか。
処理されるときにでる温室効果ガスって、なんじゃい。
気候変動と食料問題にはどんな関係があるのかな。
スーパーでならぶ野菜は、売れのこるとどうなるの。
食料自給率が低くなっているけど、どう影響があるの。

フードロスが社会におよぼす影響のうち、
じぶんが興味もてる問題はなにか。
それは、じぶんの生きてきた環境や、価値観で変わる。

環境問題のむずかしさは、まず何が問題なのか、
きちんと説明するのがむずかしいことにある。
そう言ったのは養老孟司さんだけど、食料問題でもそうだ。

経済面、農業面、環境面でも
フードロスが社会に及ぼす影響はたくさんあるけど、
すべてをじぶんごとにするのはむずかしいし、
たぶんできない。

だからまずはじぶんにとって、
これならかんがえられるな。想像できるな。
そして解決できるといいな。
そう思えることをみつけることが、
きっと大切なんだろう。

大学生も、はたらく人も、
フードロスに興味をもっている人は、確実にふえている。
小学校や中学校ではフードロスやSDGsの授業があって、
その影響か、環境問題にくわしい若いひとたちは多い。
このさき、小・中学生が消費の中心になったとき
環境や社会に配慮していない企業やサービスは、
えらばれなくなるのかもしれない。
そういった意味でも、
食の教養を身につけることは必要だと思う。

honshokuではいま、
フードロスの学校」という場をつくっている。
たくさんの人が、ここで食について学んでいる。

「フードロスの学校」では、
講義によっては70名以上の参加がある。
参加者は社会人と学生が半々くらいかな。
とおくから高速バスで来てくれる人もいてうれしい。

いまは、全6回の講義コースを開講している。
1回目の講義は、「フードロスを俯瞰する」をテーマに
東京農業大学の上岡美保先生に、
フードロスの全体像について話していただいた。

おなじく東京農業大学で
地域づくりを専門にしている宮林茂幸先生や、
法政大学の金藤正直先生と網野禎昭先生には
それぞれ会計学、木材とエネルギーの視点で
フードロスについて話を広げてもらった。

ゲスト講師はほんとうに多岐にわたるけど
これこそがフードロスの学校の魅力。
いわゆるフードロスの専門家だけで
講座をつくることもできたけど、
そうではない分野の専門家が入るのがおもしろい。

目のまえの食品だけがフードロスの対象ではない。
そのことを理解して、食と距離をとってながめられる。
そういうふうに向き合うと、食の見方が広がる。
SDGs のゴール12をきっかけに、
ほかのゴールにも考えを広げられるかもしれない。

「フードロスの学校」は、
きっかけを提供するにすぎなくて。
そこでなにを学ぶのか、かんがえるのかは、
タフですが、みなさんにゆだねている。

じぶんとちがう意見の人に、
じぶんのかんがえを伝える。
そんなときにどうするか。
そんな場面はこれからどんどんふえてくる。

自前のフードロス論は、
これからきっと必要な教養になると思う。

(honshoku代表/平井)