おむすびはごはんでできている。決してパンではない。

「当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれないけど、台北で食べたおむすびにはパンが入っていた。奇をてらったメニューなどではなく、ローカルフードとして当たり前に根付いているおむすびだ。

台北市内の露店で見つけた、おむすびを意味する「飯糰(ファントゥアン)」の看板。注文してみると、お店の男性がおひつからほかほかごはんを取り出して目の前で調理を始めた。

お米は黒米が入っていて紫色。ラップの上に平たくごはんを乗せていく。まるで、「おにぎらず」か「巻寿司」でもつくり始めるかのように見える。

大豆フレーク、スライスした煮卵、刻んだ高菜のようなもの…次々に具を乗せていく。日本のおむすびは多くの場合、具は1種類。「おむすびとは名ばかりで、おにぎらずか巻寿司みたいなものができるのかしら…」と思いながら眺めていると、最後に細長い揚げパンのような油條(ヨウテャオ)をごはんと具材の上にぽんと乗せた。しかも、2本。

ごはんの上に揚げパン。すごい光景。

男性はそのまま手際よく油條や具材をぎゅっと包み、巨大な俵型のおむすびを作ってくれた。受け取ったおむすびはずしりと重い。直径20センチほどもある。いったいどれくらい大口を開けて食べればいいんだ。何度かためらいながら最大級の大口でかぶりつくと、「サクッ」という、おむすびらしからぬ食感。例の油條だ。パン入りおむすびは初めての体験。しかも、揚げパン。

あまりにも大きいし、ごはんは糯米だし、すごいボリューム感…と思いきや、ごはんの面積が薄いので思ったほどは重たくない。油條はサクサクで中がスカスカなので、見た目とは裏腹に、意外と軽やか。

このおむすびは、揚げてから時間が経ってもサクサク感が失われない油條があってこそなせる技。日本では難しいだろうなあと思っていたら、帰国後に“日本の油條”とも言える食材を発見した。

それは、仙台名物「あぶら麩」。

油條の太さの2倍ほどはあるけど、いつまでもサクサク。煮物にするとおいしいよね。

いつか、このあぶら麩を入れた「飯糰」を作ってみようかなあと企んでいるけど、あまりにも大きすぎて口に入りそうもない。

(柏木智帆)