何度かおじゃましている飲食店で、友人と一緒に揚げ出し豆腐を2つ注文した。

まず先に、友人の前に揚げ出し豆腐が置かれた。

うっすらと半透明の衣がついた、揚げたてほかほかの絹ごし豆腐。もみじおろしと、刻んだ青ネギが乗っている。これは絶対おいしい。

すぐに、私の前にも揚げ出し豆腐が置かれた。

あれ、青ネギが乗っていない。

赤いもみじおろしだけが日の丸のように、ちょんと乗っている。

 

 

実は、SNSで料理長とつながっているため、私がSNSで何度か「ねぎ苦手」と書いているのを料理長が目にしてくれていたそう。

胸がいっぱいになり、小さな揚げ出し豆腐をちょっとずつ大切に食べた。

熱々で滑らかな舌触りの絹ごし豆腐。程よく弾力がある薄衣。出汁が効いた甘辛醤油。ぴりっと効いたもみじおろし。

私にとってこの日のメインディッシュは、きっと、揚げ出し豆腐だった。

「おいしい」って、いろいろな「おいしい」がある。

(柏木智帆)